「ボノラート物語」は、30年以上の超ロングセラーダイエット「ボノラート」について、ヘルメス・ジャパン株式会社の創業社長である小林真一が書き記した書籍です。
タイトルのとおり、大ブームを巻き起こしたボノラートが世に出た背景から始まって、脂肪燃焼のメカニズムや栄養の役割、間違ったダイエットの常識にもメスを入れた、まさに「頭脳を使って減量の本」です。
タイトルのとおり、大ブームを巻き起こしたボノラートが世に出た背景から始まって、脂肪燃焼のメカニズムや栄養の役割、間違ったダイエットの常識にもメスを入れた、まさに「頭脳を使って減量の本」です。
昭和60年1月26日の午後、FM東京の人気番組「サタデー・アドベンチャー」のエンディングの部分で、この番組の主人公、当代実力No1のニューミュージック・シンガー、ユーミンこと松任谷由美さんが、突如次のように語り出しました。
「私、去年のツアーで、いろんな所でおいしいものを食べまくって、太っちゃって。バニー・ガールの格好を途中でするんですけど、小柳ルミ子風では……(略)……。私の売り物としては、やはりモノセックスでいこうと、ダイエットに励んだんですよ。
『ボノラート』というスープで、ご存知の方も多いかも知れませんね。……(略)……。女優さんとか、みんなね、なんか急にやせなきゃならない時に飲む、ドイツ軍の肥満兵もやせさせるという、脂肪を分解するスープでね。四日間で4キロやせるという...。うちのダンナなんか、本当にみるみるやせました。別にね、健康に悪いわけじゃなくって……(略)……。やせたい人には、本当に効果があるんで、びっくりしました。
エー、なんか一つの商品の宣伝になってしまって、最後にちょっとまずいんですけど...。サタデー・アドベンチャーお別れの時間ですがやってきました。お相手は松任谷由美。それでは、また来週、ごきげんよう。」
『ボノラート』というスープで、ご存知の方も多いかも知れませんね。……(略)……。女優さんとか、みんなね、なんか急にやせなきゃならない時に飲む、ドイツ軍の肥満兵もやせさせるという、脂肪を分解するスープでね。四日間で4キロやせるという...。うちのダンナなんか、本当にみるみるやせました。別にね、健康に悪いわけじゃなくって……(略)……。やせたい人には、本当に効果があるんで、びっくりしました。
エー、なんか一つの商品の宣伝になってしまって、最後にちょっとまずいんですけど...。サタデー・アドベンチャーお別れの時間ですがやってきました。お相手は松任谷由美。それでは、また来週、ごきげんよう。」
このハプニングとも言える放送を聞いた人々の中に、女性週刊誌「B」の記者がいて、『ボノラート』というスープが、どんなものかの調査を、もっぱら芸能界で行ったリポート記事が、2月19日発売の同誌3月9日号を飾りました。
Eカップの超ボインを売り物に、人気急上昇中の若手女優H・Sさんをモニターにした、一週間の『ボノラート』スープ減量作戦の成功例をメイン・テーマに、ハーフの美人歌手A・Lさん、フォーク歌手M・Rさん、元体操選手の O・Sさん、台湾系美人歌手 J・Oさん、ジャズ・シンガーA・Sさん等々、芸能界第一線の有名タレントの間で、大変な人気を博していることが報じられたのです。
これとは別に、2月26日午後、テレビ朝日系列の全国テレビ放送網を通じて、同局の看板番組「徹子の部屋」でも、『ボノラート』スープが話題になりました。
ゲストに迎えられたアン・ルイスさんが、歌手としてカムバックするまでの9ヶ月の休みの間に5キロ太ってしまったのを、『ボノラート』スープによる減量法で、見事にスリムな美しい姿態を取り戻したことが語られ、一方のホステス役の黒柳徹子さんからは、昨年のアフリカ難民救援運動で現地に赴いた際、栄養食品として『ボノラート』を持参したことが披露されました。
予期しない一連のマスコミ報道は、本物の減量食品の登場を待ち望んでいた、全国の消費者の間に、ものすごい反響を巻き起こしました。
テレビ朝日で、アン・ルイスさんが、「西武・渋谷店」で購入したとの発言があったことで、放送直後から、渋谷店以外にも、池袋・有楽町など西武百貨店各店には、客が殺到しただけでなく、地方からの問い合わせ電話が鳴りっぱなしの日々が続きました。
雑誌「B」で、問い合わせ先と紹介された輸入発売元でも、全く同じ現象が起き、発売日の2月19日以降、連日300件以上の問い合わせ電話がなり続いています。
『ボノラート』のすべてを知りたい、という大方の声に応えるために、世に出るに至った社会的背景から始まって、今まで世間にまかり通っていた、減量の常識の誤りにも、メスを加えて、世界で初めて完成をみた、理想のダイエットの全貌を、ここに明らかにしようと思います。
Eカップの超ボインを売り物に、人気急上昇中の若手女優H・Sさんをモニターにした、一週間の『ボノラート』スープ減量作戦の成功例をメイン・テーマに、ハーフの美人歌手A・Lさん、フォーク歌手M・Rさん、元体操選手の O・Sさん、台湾系美人歌手 J・Oさん、ジャズ・シンガーA・Sさん等々、芸能界第一線の有名タレントの間で、大変な人気を博していることが報じられたのです。
これとは別に、2月26日午後、テレビ朝日系列の全国テレビ放送網を通じて、同局の看板番組「徹子の部屋」でも、『ボノラート』スープが話題になりました。
ゲストに迎えられたアン・ルイスさんが、歌手としてカムバックするまでの9ヶ月の休みの間に5キロ太ってしまったのを、『ボノラート』スープによる減量法で、見事にスリムな美しい姿態を取り戻したことが語られ、一方のホステス役の黒柳徹子さんからは、昨年のアフリカ難民救援運動で現地に赴いた際、栄養食品として『ボノラート』を持参したことが披露されました。
予期しない一連のマスコミ報道は、本物の減量食品の登場を待ち望んでいた、全国の消費者の間に、ものすごい反響を巻き起こしました。
テレビ朝日で、アン・ルイスさんが、「西武・渋谷店」で購入したとの発言があったことで、放送直後から、渋谷店以外にも、池袋・有楽町など西武百貨店各店には、客が殺到しただけでなく、地方からの問い合わせ電話が鳴りっぱなしの日々が続きました。
雑誌「B」で、問い合わせ先と紹介された輸入発売元でも、全く同じ現象が起き、発売日の2月19日以降、連日300件以上の問い合わせ電話がなり続いています。
『ボノラート』のすべてを知りたい、という大方の声に応えるために、世に出るに至った社会的背景から始まって、今まで世間にまかり通っていた、減量の常識の誤りにも、メスを加えて、世界で初めて完成をみた、理想のダイエットの全貌を、ここに明らかにしようと思います。
昭和60年3月1日
小林 真一
小林 真一
第一章 ボノラートの故郷、ドイツロマンチック街道
自動車・電機・鉄鋼・科学などのすぐれた工業力を誇る西ドイツは、同時にヨーロッパでも有数の豊かな観光資源に恵まれた美しい国です。
ライン河、ハイデルベルグ、シュバルツバルト(黒い森)といった代表的なドイツ観光の目玉の中で、近年特に日本人観光客の間で人気が上昇しているのが、ロマンチック街道です。
その名の通り、中世のロマンが現代に息づいているこの街道は、フランクフルトの西方130キロメートルの地に位置する古都ヴェルツブルグから、アルプス山麓の国境の町フュッセンまで、ほぼ南北に走っています。
320キロメートルばかりのこの街道には、文字通りの珠玉のような美しい町々が連なっていて、中世そのものの城壁都市の面影が次々と現れ、旅人の目を飽きさせることがありません。
ローテンブルグ、ディンケルスビュール、ネルトリンゲン、ドナウヴェルト、ランズベルグ、フィッセンといった町々は、特によく知られていますが、この街道の中心こそが、これからのこの物語の舞台となるアウグスブルグです。
ライン河、ハイデルベルグ、シュバルツバルト(黒い森)といった代表的なドイツ観光の目玉の中で、近年特に日本人観光客の間で人気が上昇しているのが、ロマンチック街道です。
その名の通り、中世のロマンが現代に息づいているこの街道は、フランクフルトの西方130キロメートルの地に位置する古都ヴェルツブルグから、アルプス山麓の国境の町フュッセンまで、ほぼ南北に走っています。
320キロメートルばかりのこの街道には、文字通りの珠玉のような美しい町々が連なっていて、中世そのものの城壁都市の面影が次々と現れ、旅人の目を飽きさせることがありません。
ローテンブルグ、ディンケルスビュール、ネルトリンゲン、ドナウヴェルト、ランズベルグ、フィッセンといった町々は、特によく知られていますが、この街道の中心こそが、これからのこの物語の舞台となるアウグスブルグです。
アウグスブルグは、その名の示す通り、古代ローマ帝国のアウグストゥス皇帝の時代に、ローマ軍のガリア(現ドイツ)地方進出の駐屯拠点として開かれたドイツ最古の歴史を持つ町であります。
今年1985年は、たまたまアウグスブルグ建市2000年目に当たり、人口25万人の、西ドイツ・バイエルン州ではミュンヘン、ニュールンベルグに次ぐ3番目に大きなこの町は、ドイツ建国以来の世紀の2000年祭で沸きかえっています。
いまは旅情をかき立てるロマンチック街道も、実はローマ時代からの拠点都市アウグスブルグから、北ヨーロッパへ進むべき軍事・商業両面での重要ルートであったのです。
アウグスブルグから、ロマンチック街道に沿って、ランズベルグ、フュッセンに至るルートには、チロルの山中に水源を発した清冽な川の流れが見えます。
レヒ河と呼ばれ、アウグスブルグの市街を南から北へ縦断した後、ドナウヴェルトで、かのドナウ河に合流し、ウィーンに向けて流れて行きます。
このレヒ河がアウグスブルグ市の経済発展に寄与した功績は大きいものがあります。
今年1985年は、たまたまアウグスブルグ建市2000年目に当たり、人口25万人の、西ドイツ・バイエルン州ではミュンヘン、ニュールンベルグに次ぐ3番目に大きなこの町は、ドイツ建国以来の世紀の2000年祭で沸きかえっています。
いまは旅情をかき立てるロマンチック街道も、実はローマ時代からの拠点都市アウグスブルグから、北ヨーロッパへ進むべき軍事・商業両面での重要ルートであったのです。
アウグスブルグから、ロマンチック街道に沿って、ランズベルグ、フュッセンに至るルートには、チロルの山中に水源を発した清冽な川の流れが見えます。
レヒ河と呼ばれ、アウグスブルグの市街を南から北へ縦断した後、ドナウヴェルトで、かのドナウ河に合流し、ウィーンに向けて流れて行きます。
このレヒ河がアウグスブルグ市の経済発展に寄与した功績は大きいものがあります。
この地に1000年、
今に残るヨーロッパ最古の工場 カイムディエット社
今に残るヨーロッパ最古の工場 カイムディエット社
ヨーロッパの他の河川がそうであるように、水利の便としてはもとより、流れの急なこの川の力を利用した水車の活用が、かなり早い時代から行われてきました。言うまでもなく、電力や蒸気機関の出現の前に、天然のエネルギーとして人々が利用できたものは、空気と水の流れる力だけでした。風車と水車がそれです。
古くから小麦をはじめとする穀物を粉にひいて、食用にしてきたヨーロッパ人にとって、粉ひきのウスを回す仕事は重労働であり、風車および水車の回転力活用の発見は、最初のエネルギー革命でもありました。風車は、絶えず強い風が吹いてくれる地域での利用に限られたのに対して、水車の利用はより容易でした。レヒ河の急流は、アウグスブルグの人々にとって、大変な恩恵であったと言えます。
このレヒ河の流れを得て、実に今を去る1003年前に設立された工場が現存しています。
1003年の昔、西暦982年といえば、ヨーロッパにおいては、今のドイツ、オーストリーにまたがる地域に、神聖ローマ帝国が発足してからわずかの20年後のすぎず、日本では 平 将門(たいらの まさかど)の乱が平定され、藤原氏一族が栄華を極めていた頃に当たります。
こんなに古い時代から、21世紀を目前とする今日に至るまでの長い歴史を生き続けた工場が、ドイツ最古、いやおそらくはヨーロッパでも最古であろうフレーダー・ミルであり、このフレーダー・ミルこそが、ヨーロッパ製薬の名門企業として名高いカイムディエット社の母体そのものなのです。
古くから小麦をはじめとする穀物を粉にひいて、食用にしてきたヨーロッパ人にとって、粉ひきのウスを回す仕事は重労働であり、風車および水車の回転力活用の発見は、最初のエネルギー革命でもありました。風車は、絶えず強い風が吹いてくれる地域での利用に限られたのに対して、水車の利用はより容易でした。レヒ河の急流は、アウグスブルグの人々にとって、大変な恩恵であったと言えます。
このレヒ河の流れを得て、実に今を去る1003年前に設立された工場が現存しています。
1003年の昔、西暦982年といえば、ヨーロッパにおいては、今のドイツ、オーストリーにまたがる地域に、神聖ローマ帝国が発足してからわずかの20年後のすぎず、日本では 平 将門(たいらの まさかど)の乱が平定され、藤原氏一族が栄華を極めていた頃に当たります。
こんなに古い時代から、21世紀を目前とする今日に至るまでの長い歴史を生き続けた工場が、ドイツ最古、いやおそらくはヨーロッパでも最古であろうフレーダー・ミルであり、このフレーダー・ミルこそが、ヨーロッパ製薬の名門企業として名高いカイムディエット社の母体そのものなのです。
ヨーロッパで「小麦胚芽の父」の異名をとり、「植物栄養学のパイオニア」の賛辞をあびるグランデル博士は、前節で紹介された伝統工場フレーダー・ミルを所有するグランデル家の当主として、1905年6月1日に生を享けました。
グランデル家は、代々科学者を生み出す家計として有名で、父のゴットフリード・グランデル博士も、叔父のライナー博士も、共に高名な学者です。
グランデル家は、代々科学者を生み出す家計として有名で、父のゴットフリード・グランデル博士も、叔父のライナー博士も、共に高名な学者です。
チューリンゲン大学で、カウフマン教授に師事して、油脂科学と農業科学を専攻し、1932年に27歳の若さで学位を得たグランデル博士は、伝統工場フレーダー・ミルを拠点に、それまでヨーロッパで誰も手掛けようとしなかった分野への研究生活に入りました。
生家は、1000年にも及ぶ、長い歴史を持つ粉ひき工場です。同時に、何百年前からかは記録が残されていませんが、家業として生薬の製造販売を行っておりました。
ドイツ生薬-近代医学や薬理学が確立する以前から、病気やけがに苦しむ多くの人を救ってきた諸々の薬草・種子・樹皮などから抽出した神秘な力に、グランデル博士は、近代科学の薬理のメスを加えて、解明しようという試み、言い換えれば、神秘的なドイツ生薬の伝統技術と近代薬理学とのドッキングに取り組むことにしたのでした。
グランデル博士には、これに関連してもう1つ、どうしても解明したいテーマがありました。
たった1粒の小麦が、種子として大地にまかれれば、やがて何百粒の新たなる生命を持った小麦ができる。その偉大なる生命力の秘密はどこにあるのだろうか。
生家の家業の1つである粉ひき工場において、精製の過程でヌカとして捨てられている小麦胚芽の中に、神秘な生命力が潜んでいるにちがいない-という信念が、グランデル博士の胸の中で、どんどん広がっていきました。後日、「小麦胚芽の父」の異名で、広くヨーロッパ中で知られるようになったグランデル博士のライフワークが、こうして始められました。
今日、ドイツを中心とする西ヨーロッパ市場で、薬局(アポケテ)、自然・健康食品店(レホルムハウス)、美容室(コスメティック・インスティチュート)をルートに、80品目を超えるカイムディエット社の製品が供給されていますが、薬品・化粧品・特殊栄養食品の3分野にわたる、これらの製品のすべてが、グランデル博士の解明した「小麦胚芽の生命の神秘」および「ドイツ製薬の神秘に近代薬理学のメスを加えたもの」を、具体的に応用した傑作の数々なのです。
近代医学・近代薬学の美名の下に、大量生産方式による化学合成品が、薬剤や化粧品の主流と化していく中で、グランデル博士は、かたくなまでに「自然派」の旗手としての立場を固持し、あえて工場規模の大型化といった安易な道をとらず、伝統あるドイツ生薬の路線を守ってきました。
薬品公害や化学合成化粧品による被害が次々と明るみに出て、人々が「自然」の重要さを再認識するようになったことで、グランデル博士が信念を持って守り抜いた道の偉大さが、いま改めて評価されています。
第二章 減量の暗黒時代
グランデル博士が生み出した数々のヒット商品の中で、いま日本でも大反響を呼んでいる画期的な商品があります。
「減量」とか「痩身」という言葉自体について回っていた従来のマイナス・イメージを一掃してしまった、ダイエット用の栄養食品「ボノラート」がそれです。
「ボノラート」が、どのように画期的な商品なのか、また、何故そのような評価を得ることができたのかをお話しするためには、まず、従来は「減量」とか「痩身」とかいったテーマに、どのような定義付けが行われていたのかを知る必要があると思います。
世界でも例のないほどのすばらしい経済発展をとげた日本ですが、その結果得られた豊かな食生活が、飽食がもたらす肥満の問題を生じさせたのは、まことに皮肉なことであります。
ただ単に、美容の面から肥満は醜いと言うだけでなく、あらゆる成人病の引き金とまで言われる肥満問題を、健康の面からも克服しようと願う人々は多いのです。その人々が、いざ実行をという時に、頭をかすめるのが、「減量」「痩身」更には「ダイエット」という文字にまで、そこにはある種の暗い雰囲気が漂っている事実です。
どうしてこんな事になったのでしょうか。
日本で自称フード・コンサルタントとか、美容研究家といった、いわゆる「専門家」、それに一部の医者、一部の薬剤師、一部の栄養士による「減量ダイエット」の誤った解釈と、正しくない指導が原因であると断言します。
「専門家」と称する彼らの、栄養生理学の基本知識の欠如ぶりは、ひどいものとしか言いようがありません。
試みに、彼らの説明に耳をかたむけてみましょう。
「どうすれば肥満の解消ができるのでしょうか?」との質問に、どのような答えをくれるでしょうか。
ここで彼らが、「肥満」の定義と解消法のために、まず持ちだしてくるのが「カロリー」についての解説です。彼らが好んで用いる説明方法は次の通りです。
肥満の原理を、貯金のそれになぞらえて、カロリー摂取を「収入」とし、カロリー消費を「支出」とみなして、支出を上回る収入があった場合、その差額が「貯金」として蓄えられるのと同様に、消費を上回るカロリー摂取が、エネルギーの蓄えとして、皮下を中心とした体内にたまってゆくのだという説明であります。
非常に分かりやすい例の引き方でもあり、理論的にも全く間違いがありません。ですから、なぜ「肥満」になるのかの説明までは、どこにも問題点は見つかりません。
問題はこのすぐ後に出てくるのです。
質問者のほとんど全員は、肥満の原因を知りたいと思うよりは、どうすれば肥満の状況から救われるかについて、専門家の教えを乞うているのです。
ここで専門家たちは、肥満の原因と同じ論点に立って、答えを出してくれますが、そこに大きな落とし穴が待ち受けています。
彼らは、肥満の原因を説明してくれたのと同じ論法を使って、要はその逆をやればよい、と自信たっぷりに教えようとします。すなわち、貯金がたまりすぎた状態が肥満なのだから、その貯金を食いつぶすように、支出をどんどん増やせばよいのだと言うのです。また、収入の方は、支出を上回ることのないように、意識的に押さえるように、とのアドバイスを出してくるのです。
これをもっと具体的に言えば、支出をどんどん増やしなさいというのは、運動量や作業量を多くして、どんどんカロリーを消費しなさいということであり、一方の収入を押さえろというのは、要するに、食べる量を減らして、低カロリーの食事に徹しなさいということであります。
この二つのアドバイスのうち、最初の方はまことに結構なご意見です。
運動や作業の量を積極的に増やして、カロリー消費増大を図り、たまりすぎていた体内脂肪をエネルギーに変えて発散させることで、肥満の解消に当たろうというのですから、これ以上の正論はなく、誰もが疑う余地のない理論的な肥満解消法であるに違いありません。
「減量」とか「痩身」という言葉自体について回っていた従来のマイナス・イメージを一掃してしまった、ダイエット用の栄養食品「ボノラート」がそれです。
「ボノラート」が、どのように画期的な商品なのか、また、何故そのような評価を得ることができたのかをお話しするためには、まず、従来は「減量」とか「痩身」とかいったテーマに、どのような定義付けが行われていたのかを知る必要があると思います。
世界でも例のないほどのすばらしい経済発展をとげた日本ですが、その結果得られた豊かな食生活が、飽食がもたらす肥満の問題を生じさせたのは、まことに皮肉なことであります。
ただ単に、美容の面から肥満は醜いと言うだけでなく、あらゆる成人病の引き金とまで言われる肥満問題を、健康の面からも克服しようと願う人々は多いのです。その人々が、いざ実行をという時に、頭をかすめるのが、「減量」「痩身」更には「ダイエット」という文字にまで、そこにはある種の暗い雰囲気が漂っている事実です。
どうしてこんな事になったのでしょうか。
日本で自称フード・コンサルタントとか、美容研究家といった、いわゆる「専門家」、それに一部の医者、一部の薬剤師、一部の栄養士による「減量ダイエット」の誤った解釈と、正しくない指導が原因であると断言します。
「専門家」と称する彼らの、栄養生理学の基本知識の欠如ぶりは、ひどいものとしか言いようがありません。
試みに、彼らの説明に耳をかたむけてみましょう。
「どうすれば肥満の解消ができるのでしょうか?」との質問に、どのような答えをくれるでしょうか。
ここで彼らが、「肥満」の定義と解消法のために、まず持ちだしてくるのが「カロリー」についての解説です。彼らが好んで用いる説明方法は次の通りです。
肥満の原理を、貯金のそれになぞらえて、カロリー摂取を「収入」とし、カロリー消費を「支出」とみなして、支出を上回る収入があった場合、その差額が「貯金」として蓄えられるのと同様に、消費を上回るカロリー摂取が、エネルギーの蓄えとして、皮下を中心とした体内にたまってゆくのだという説明であります。
非常に分かりやすい例の引き方でもあり、理論的にも全く間違いがありません。ですから、なぜ「肥満」になるのかの説明までは、どこにも問題点は見つかりません。
問題はこのすぐ後に出てくるのです。
質問者のほとんど全員は、肥満の原因を知りたいと思うよりは、どうすれば肥満の状況から救われるかについて、専門家の教えを乞うているのです。
ここで専門家たちは、肥満の原因と同じ論点に立って、答えを出してくれますが、そこに大きな落とし穴が待ち受けています。
彼らは、肥満の原因を説明してくれたのと同じ論法を使って、要はその逆をやればよい、と自信たっぷりに教えようとします。すなわち、貯金がたまりすぎた状態が肥満なのだから、その貯金を食いつぶすように、支出をどんどん増やせばよいのだと言うのです。また、収入の方は、支出を上回ることのないように、意識的に押さえるように、とのアドバイスを出してくるのです。
これをもっと具体的に言えば、支出をどんどん増やしなさいというのは、運動量や作業量を多くして、どんどんカロリーを消費しなさいということであり、一方の収入を押さえろというのは、要するに、食べる量を減らして、低カロリーの食事に徹しなさいということであります。
この二つのアドバイスのうち、最初の方はまことに結構なご意見です。
運動や作業の量を積極的に増やして、カロリー消費増大を図り、たまりすぎていた体内脂肪をエネルギーに変えて発散させることで、肥満の解消に当たろうというのですから、これ以上の正論はなく、誰もが疑う余地のない理論的な肥満解消法であるに違いありません。
でも、理論の正しさは大変に結構なこととして、実際にこの方法で専門家が見事に解明してくれたような効果が得られるのでしょうか。
本当にそうなら、肥満問題はこんなにまで大きな社会問題になってはいないはずではないでしょうか。早い話が、肥満が進んで血圧も高いし、心臓の負担が大きいと、はっきりしている人々に、より激しくカロリー消費を行わせるだけの、運動や作業の増大を求めてよいのでしょうか。
専門家言っていることは、理論は正しそうですが、現実離れの机上論にすぎません。実地にスポーツなどで運動量を高める努力をしてみるとよくわかります。意外なほどに、運動によるカロリー消費が大きくないという大きなカベにぶつかるはずなのです。
一例として、あれほどまでに激しく消耗されるとみえるマラソン・フルコースの走行でも、失われるカロリーは、たったの2~300カロリーでしかありません。
疲れを取り戻そうとして、フランス料理か中華料理の豪華な食卓を囲めば、失われたと同量もしくは、それを上回るカロリーがとれてしまいます。運動でのカロリー消費増大は、しょせんその程度のものであるにすぎません。
運動と消費カロリーのお話についでに、いわゆる専門家たちが、栄養生理学の基礎知識を持たずに、いかに間違いだらけの「肥満解消」指導を行っているか、が明るみに出てしまう事実を申し上げることにしましょう。
皆さんに、一つの問題を出してみたいと思います。
「激しい運動による、より多くのカロリー消費は、本当に減量―減脂肪
に結びつくのでしょうか?」
もう少し具体的に申し上げましょう。
激しい運動の例として、バーベル挙げをして頂くこととします。
一方で、やさし運動として、自転車をこいで頂きます。
二つの運動を比べて、どちらの方が疲れるかと言えば、文句なしにバーベル挙げの方ですし、カロリー消費も、当然ながらバーベル挙げの方が、ただの自転車こぎよりもはるかに大きくなります。
ここで言う自転車こぎは、一般の人がごく普通に乗り回す自転車であって、プロレースのような過激なものではないことを、念のために申し添えておきます。
では、この場合の運動の目的である「肥満解消」には、どちらの方が有効なのでしょうか。
「肥満」の正しい定義とか、本当の肥満解消とは何であるかについては、第四章で詳しく説明する予定なので、ここではでは結論だけだしておくこととします。
意外に思われるでしょうが、激しくカロリーを消費するバーベル挙げでは、あまり肥満解消の効果が出ません。やさしい自転車の方が、カロリー消費が少ないにもかかわらず、肥満解消の効果が出てくるのです。
いかがでしょうか。
専門家たちの言う「カロリー消費を高めれば、肥満解消ができる」との指導は、ここにも事実に反する、大きな間違いがあります。
本当にそうなら、肥満問題はこんなにまで大きな社会問題になってはいないはずではないでしょうか。早い話が、肥満が進んで血圧も高いし、心臓の負担が大きいと、はっきりしている人々に、より激しくカロリー消費を行わせるだけの、運動や作業の増大を求めてよいのでしょうか。
専門家言っていることは、理論は正しそうですが、現実離れの机上論にすぎません。実地にスポーツなどで運動量を高める努力をしてみるとよくわかります。意外なほどに、運動によるカロリー消費が大きくないという大きなカベにぶつかるはずなのです。
一例として、あれほどまでに激しく消耗されるとみえるマラソン・フルコースの走行でも、失われるカロリーは、たったの2~300カロリーでしかありません。
疲れを取り戻そうとして、フランス料理か中華料理の豪華な食卓を囲めば、失われたと同量もしくは、それを上回るカロリーがとれてしまいます。運動でのカロリー消費増大は、しょせんその程度のものであるにすぎません。
運動と消費カロリーのお話についでに、いわゆる専門家たちが、栄養生理学の基礎知識を持たずに、いかに間違いだらけの「肥満解消」指導を行っているか、が明るみに出てしまう事実を申し上げることにしましょう。
皆さんに、一つの問題を出してみたいと思います。
「激しい運動による、より多くのカロリー消費は、本当に減量―減脂肪
に結びつくのでしょうか?」
もう少し具体的に申し上げましょう。
激しい運動の例として、バーベル挙げをして頂くこととします。
一方で、やさし運動として、自転車をこいで頂きます。
二つの運動を比べて、どちらの方が疲れるかと言えば、文句なしにバーベル挙げの方ですし、カロリー消費も、当然ながらバーベル挙げの方が、ただの自転車こぎよりもはるかに大きくなります。
ここで言う自転車こぎは、一般の人がごく普通に乗り回す自転車であって、プロレースのような過激なものではないことを、念のために申し添えておきます。
では、この場合の運動の目的である「肥満解消」には、どちらの方が有効なのでしょうか。
「肥満」の正しい定義とか、本当の肥満解消とは何であるかについては、第四章で詳しく説明する予定なので、ここではでは結論だけだしておくこととします。
意外に思われるでしょうが、激しくカロリーを消費するバーベル挙げでは、あまり肥満解消の効果が出ません。やさしい自転車の方が、カロリー消費が少ないにもかかわらず、肥満解消の効果が出てくるのです。
いかがでしょうか。
専門家たちの言う「カロリー消費を高めれば、肥満解消ができる」との指導は、ここにも事実に反する、大きな間違いがあります。
専門家を自称する彼らが、どうしてこのような誤ちを犯すのでしょうか。
疑問に思われる方も多いことでしょう。
肥満の解消のためには、肥満の原因となっている、体内の余分な脂肪を燃やしてしまわないければダメなのです。ところが、激しい運動では、すぐ燃焼として役立つ、筋肉中や血中のグリコーゲン・ブドウ糖だけが燃えて、いわば予備燃料の体内脂肪には火がつかないのです。
逆に、ゆっくりした運動では、予備の固形燃料である体内脂肪も、ゆっくりと燃え出すという訳です。
このような人体生理をしらずにただの足し算、引き算で済ませようとするから、彼らの間違いが出てくるという次第であります。
私たちの身体は、そんなに単純にはできておりません。
ここまでお読み頂いた皆さんに、誤解を招かないように、一言付け加えておきます。決して運動や作業量を高めることに反対しているのではありません。実行の難しさや、効果の上がりにくさを指摘しているのであって、健康増進のための、各人の体調に沿った適度の運動は、大いに奨励したいと思います。
さて、ここからが本当に声を大にして訴えたいハイライト部分です。
日本での自称フード・コンサルタントや美容研究家といった連中が、どれほどまでに誤った「減量指導」を行い、そのために、多くの人々が彼らの指導に従った結果、うまくやせることができなかったり、やせたとしても、美容・健康を損なう栄養障害に泣かされることとなってしまったか。
「減量」にマイナス・イメージを植え付けるに至った、「専門家」が犯した「大いなる誤ち」について詳しく申し述べることに致しましょう。
先程、自称専門家たちの「肥満解消」に関する2つのアドバイスにふれましたが、その二番目のアドバイスを、もう一度書き出してみることにします。
「貯金を食いつぶすために、意識的に収入を押さえなさい。具体的には、食べる物を制限して、低カロリー食に徹しなさい」というのが、「減量」のための第二のアドバイスであり、第一の「カロリー消費の増大」よりも、むしろこの方に重点が置かれた指導が行われています。この考え方・指導法を、本書ではこの後、「カロリー至上主義」と呼ぶことと致します。
「減量はしたいけれど、栄養不足からくる美容面でのトラブルや、健康面での副作用がこわい」
減量ダイエットの必要性を痛感しながら、いざ取り組もうとするときに、人びとが懸念を抱かざるを得ない原因が「カロリー至上主義」からきています。
「カロリー至上主義」の指導を受け入れた人々は、ひたすら食べたいものを我慢する、カロリーだけを尺度にした食事制限を行う結果、やせるにはやせたものの、肝心のおなかの回りや、腰回り、太ももなどには、あまり変化が現れず、ほおがコケたり大事な胸がぺちゃんこになったりという、うれしくないやせ方に終わるケースが圧倒的に多いのです。
美しくなりたくて、苦しい食事制限を行った結果がこんな調子では、悲劇としか言いようがありません。もっとひどいのは、肌が荒れたり。胃腸の調子が悪くなったりすることで、健康を害することを引き換えにしたやせ方など、許されてよいはずがないでしょう。
いま、申し述べたような、悲惨な結果を生じさせる原因が、繰り返し申し上げますが、ひとえに専門家たちが唱える「カロリー至上主義」によるものであります。
「カロリー至上主義」は、その名の通り、食べ物をただカロリーの尺度だけで計算する方法です。
必須アミノ酸・必須脂肪酸・ビタミン類・ミネラル類といった、人間が健全に生きていく上で、欠かしてはいけない多くの栄養素の存在を無視した、あまりにも低次元な発想であり、これら栄養素の欠乏が、細胞の生命活動を妨げ、身体の各部に障害をもたらすわけです。
誤った指導を行って、多くの人々に美容・健康上の被害を与え、「減量」「痩身」はては「ダイエット」といった言葉そのものに、マイナス・イメージをもたせてしまった彼ら、いわゆる専門家連中の罪は、大変深いと言わざるを得ません。
私たちが生きてゆくための「生命の源泉」は、カロリーだけではないことを、肝に銘じてほしいと思います。
疑問に思われる方も多いことでしょう。
肥満の解消のためには、肥満の原因となっている、体内の余分な脂肪を燃やしてしまわないければダメなのです。ところが、激しい運動では、すぐ燃焼として役立つ、筋肉中や血中のグリコーゲン・ブドウ糖だけが燃えて、いわば予備燃料の体内脂肪には火がつかないのです。
逆に、ゆっくりした運動では、予備の固形燃料である体内脂肪も、ゆっくりと燃え出すという訳です。
このような人体生理をしらずにただの足し算、引き算で済ませようとするから、彼らの間違いが出てくるという次第であります。
私たちの身体は、そんなに単純にはできておりません。
ここまでお読み頂いた皆さんに、誤解を招かないように、一言付け加えておきます。決して運動や作業量を高めることに反対しているのではありません。実行の難しさや、効果の上がりにくさを指摘しているのであって、健康増進のための、各人の体調に沿った適度の運動は、大いに奨励したいと思います。
さて、ここからが本当に声を大にして訴えたいハイライト部分です。
日本での自称フード・コンサルタントや美容研究家といった連中が、どれほどまでに誤った「減量指導」を行い、そのために、多くの人々が彼らの指導に従った結果、うまくやせることができなかったり、やせたとしても、美容・健康を損なう栄養障害に泣かされることとなってしまったか。
「減量」にマイナス・イメージを植え付けるに至った、「専門家」が犯した「大いなる誤ち」について詳しく申し述べることに致しましょう。
先程、自称専門家たちの「肥満解消」に関する2つのアドバイスにふれましたが、その二番目のアドバイスを、もう一度書き出してみることにします。
「貯金を食いつぶすために、意識的に収入を押さえなさい。具体的には、食べる物を制限して、低カロリー食に徹しなさい」というのが、「減量」のための第二のアドバイスであり、第一の「カロリー消費の増大」よりも、むしろこの方に重点が置かれた指導が行われています。この考え方・指導法を、本書ではこの後、「カロリー至上主義」と呼ぶことと致します。
「減量はしたいけれど、栄養不足からくる美容面でのトラブルや、健康面での副作用がこわい」
減量ダイエットの必要性を痛感しながら、いざ取り組もうとするときに、人びとが懸念を抱かざるを得ない原因が「カロリー至上主義」からきています。
「カロリー至上主義」の指導を受け入れた人々は、ひたすら食べたいものを我慢する、カロリーだけを尺度にした食事制限を行う結果、やせるにはやせたものの、肝心のおなかの回りや、腰回り、太ももなどには、あまり変化が現れず、ほおがコケたり大事な胸がぺちゃんこになったりという、うれしくないやせ方に終わるケースが圧倒的に多いのです。
美しくなりたくて、苦しい食事制限を行った結果がこんな調子では、悲劇としか言いようがありません。もっとひどいのは、肌が荒れたり。胃腸の調子が悪くなったりすることで、健康を害することを引き換えにしたやせ方など、許されてよいはずがないでしょう。
いま、申し述べたような、悲惨な結果を生じさせる原因が、繰り返し申し上げますが、ひとえに専門家たちが唱える「カロリー至上主義」によるものであります。
「カロリー至上主義」は、その名の通り、食べ物をただカロリーの尺度だけで計算する方法です。
必須アミノ酸・必須脂肪酸・ビタミン類・ミネラル類といった、人間が健全に生きていく上で、欠かしてはいけない多くの栄養素の存在を無視した、あまりにも低次元な発想であり、これら栄養素の欠乏が、細胞の生命活動を妨げ、身体の各部に障害をもたらすわけです。
誤った指導を行って、多くの人々に美容・健康上の被害を与え、「減量」「痩身」はては「ダイエット」といった言葉そのものに、マイナス・イメージをもたせてしまった彼ら、いわゆる専門家連中の罪は、大変深いと言わざるを得ません。
私たちが生きてゆくための「生命の源泉」は、カロリーだけではないことを、肝に銘じてほしいと思います。
ぼつぼつ本論に入りましょう。
「カロリー至上主義」のおかげで、多くの人々が抱いてしまった「減量」「痩身」「ダイエット」のマイナス・イメージを一掃した、グランデル博士の画期的減量理論と、その具体的実践方法としてのダイエット食品「ボノラート」が作り出されたかげに、実に興味深いバックストーリーがありました。
今を去る23年前のある日のことです。当時ドイツ油脂学会の主要なリーダーでもあったグランデル博士のもとに、一人の訪問者がありました。
西ドイツ陸軍病院の顧問医H・Wキルヒホッフ教授の来訪目的は、次のようなものでした。
兵役の義務が課せられる西ドイツでは、徴兵によって毎年多くの若者が、軍務に服するために入隊してきます。18ヵ月の間、連日激しい軍事訓練に明け暮れるわけですが、ここで軍事当局の頭を悩ます問題が発生します。
わずか18歳の若者の間に、ジャガ芋の食べすぎでしょうか、すでにでっぷりとぜい肉をためこんだ肥満者たちの存在です。
おなかの突き出た新兵さんなんて、およそ見れた図ではありません。何としてでも、一日も早く減量させて、突き出たおなかを引っ込めさせる必要があります。
当時は、西ドイツでも今日の日本のように、「カロリー至上主義」がまかり通っておりました。さりとて、毎日が激しい体力消耗の連続である兵隊さんの訓練に、カロリー制限の食事を与える方法が、不向きであることは言うまでもありません。
たちまち、栄養障害を起こして、病兵が続出するであろうことは、火を見るよりも明らかと思われました。
体力を損なうことなく、邪魔なおなかの出っ張りを、すみやかに取り去って、引き締まった身体の、たくましい兵隊に鍛え上げるよい方法はないものか。これがキルヒホッフ教授のグランデル博士に対する相談ごとであったのです。
チューリンゲン大学で、農業科学と共に、油脂科学を専攻し、油脂学者としても、当時西ドイツの最高の頭脳の一人とされたグランデル博士にとって、「脂肪の代謝」は、得意な研究分野の一つでありました。
グランデル博士は、キルヒホッフ教授による研究要請を快く受けたのでした。
肥満兵たちの体力を損なわないよう、充分な栄養を与えて、体内の「余分な脂肪」の代謝を促してやれば、問題は解決する。
グランデル博士には、キルヒホッフ教授の話を聞いた最初から、このテーマについては、解決の成算があったのです。
「カロリー至上主義」のおかげで、多くの人々が抱いてしまった「減量」「痩身」「ダイエット」のマイナス・イメージを一掃した、グランデル博士の画期的減量理論と、その具体的実践方法としてのダイエット食品「ボノラート」が作り出されたかげに、実に興味深いバックストーリーがありました。
今を去る23年前のある日のことです。当時ドイツ油脂学会の主要なリーダーでもあったグランデル博士のもとに、一人の訪問者がありました。
西ドイツ陸軍病院の顧問医H・Wキルヒホッフ教授の来訪目的は、次のようなものでした。
兵役の義務が課せられる西ドイツでは、徴兵によって毎年多くの若者が、軍務に服するために入隊してきます。18ヵ月の間、連日激しい軍事訓練に明け暮れるわけですが、ここで軍事当局の頭を悩ます問題が発生します。
わずか18歳の若者の間に、ジャガ芋の食べすぎでしょうか、すでにでっぷりとぜい肉をためこんだ肥満者たちの存在です。
おなかの突き出た新兵さんなんて、およそ見れた図ではありません。何としてでも、一日も早く減量させて、突き出たおなかを引っ込めさせる必要があります。
当時は、西ドイツでも今日の日本のように、「カロリー至上主義」がまかり通っておりました。さりとて、毎日が激しい体力消耗の連続である兵隊さんの訓練に、カロリー制限の食事を与える方法が、不向きであることは言うまでもありません。
たちまち、栄養障害を起こして、病兵が続出するであろうことは、火を見るよりも明らかと思われました。
体力を損なうことなく、邪魔なおなかの出っ張りを、すみやかに取り去って、引き締まった身体の、たくましい兵隊に鍛え上げるよい方法はないものか。これがキルヒホッフ教授のグランデル博士に対する相談ごとであったのです。
チューリンゲン大学で、農業科学と共に、油脂科学を専攻し、油脂学者としても、当時西ドイツの最高の頭脳の一人とされたグランデル博士にとって、「脂肪の代謝」は、得意な研究分野の一つでありました。
グランデル博士は、キルヒホッフ教授による研究要請を快く受けたのでした。
肥満兵たちの体力を損なわないよう、充分な栄養を与えて、体内の「余分な脂肪」の代謝を促してやれば、問題は解決する。
グランデル博士には、キルヒホッフ教授の話を聞いた最初から、このテーマについては、解決の成算があったのです。
第三章 真の減量ダイエットとは
非常に残念なことですが、日本では「肥満」の定義についても、完全に誤った解釈がまかり通っています。
「肥満には脂肪太りの他に水太りがある」
「水を飲んでも太る」
といったたぐいのことが、新聞や雑誌の広告面はおろか、一部の自称美容学専門家の発言の中でも、まま見られることであり、多くの人々に誤った観念を植え付ける罪深い行為であります。
極端なケースではありますが、一部の悪質業者に、そうした自称専門家が関与して、劇薬といってよい強力な利尿剤に、もっともらしい美しい商品名をつけて、美容室やエステティックサロンを通じて、売りさばいた例がありました。
「肥満」の定義の中に、「水太り」というのは絶対にありません。
「肥満」というのは、本来なら予備のエネルギーとして、適量の脂肪が体内に蓄えられているものが、たまりすぎてしまった結果、いつまでも利用されずに、活性を失ってしまった状態のことを言うのです。
ですから、「肥満」には「脂肪太り」しかありません。
なお、一般に「ぜい肉」と呼ばれているのは、正しくは「ぜい脂肪」と呼ぶべきであって、この「ぜい脂肪」すなわち、体内の余分な脂肪を取り除くことが、「減量」の目的なのです。
「肥満には脂肪太りの他に水太りがある」
「水を飲んでも太る」
といったたぐいのことが、新聞や雑誌の広告面はおろか、一部の自称美容学専門家の発言の中でも、まま見られることであり、多くの人々に誤った観念を植え付ける罪深い行為であります。
極端なケースではありますが、一部の悪質業者に、そうした自称専門家が関与して、劇薬といってよい強力な利尿剤に、もっともらしい美しい商品名をつけて、美容室やエステティックサロンを通じて、売りさばいた例がありました。
「肥満」の定義の中に、「水太り」というのは絶対にありません。
「肥満」というのは、本来なら予備のエネルギーとして、適量の脂肪が体内に蓄えられているものが、たまりすぎてしまった結果、いつまでも利用されずに、活性を失ってしまった状態のことを言うのです。
ですから、「肥満」には「脂肪太り」しかありません。
なお、一般に「ぜい肉」と呼ばれているのは、正しくは「ぜい脂肪」と呼ぶべきであって、この「ぜい脂肪」すなわち、体内の余分な脂肪を取り除くことが、「減量」の目的なのです。
一般に、「減量」「痩身」に取り組もうとする人々は、そのスタートにあたって、まず体重計を用意するのが普通です。
「減量」=「体重を減らすこと」と、短絡に思い込んでしまうからです。
もちろん「減量」の、本当の対象物であるところの、「余分な脂肪」を取り除いた結果は、期待通りの体重減少につながる道理ですから、体重計は、それなりに目盛りが動いて、減量作戦の戦果を知らせてくれます。
この限りでは、何の問題も起きないのですが、正しい「減量」の意味を知らずに、ただやみくもに体重を減らせばと、誤った「やせ方」を行う時、体重計の目盛りの移動に一喜一憂することは、ナンセンスだけでなく、大変な危険すら伴いかねません。
余分な脂肪は、どんどん取り除かねばなりませんし、その結果の体重減は、大いに喜ぶべきことですが、別の理由からくる体重減を喜んでいた日には、大変なことになります。
先程も言いましたような、水分の無理な排せつの結果は、身体の内部で多くの臓器に異常をもたらしますし、ましてや、身体を構成している組織そのもの-ヒフ・内臓・筋肉など-をすり減らしての減量=体重減は、まさに生命のすり減らし、緩慢な自殺行為と断言しても差し支えないほどの危険なことなのです。
減量作戦に当たって、単純に体重計の目盛りだけを基準にしてはいけないという意味をよく理解してほしいと思います。
以上を整理してみますと、私たちの身体の重さ、すなわち体重は、大きく区分すると次の3つの物で構成されています。
1.身体の組織
2.水分
3.脂肪
この3つの構成要素は、当然それぞれに重さがあり、その合計が体重であります。そんな分かりきったことをと、おっしゃる方々も大勢おられるでしょうが、いざ減量作戦をとなれば、大部分の方々が、3つの構成要素の持つ意味を忘れてしまっていることが多いので、くどいように申し上げる次第です。
減量の対象にしてよい、いや対象にしなければならないのは3番目の脂肪だけであって、1番目の身体組織と、2番目の水分は、減量の対象にしてはいけません。
日本でまかり通っている「減量」「ダイエット」の常識、すなわちカロリー・カット方式をとれば、間違いなく影響を受けるのが、1番目の身体の組織であるという、極めて重大な事実に目を向けてください。
カロリー・カット方式の結果は、確かに脂肪も多少は取れるでしょうが、その前に身体の構成組織がすり減ってくるのです。その結果、ある場合は肌のおとろえとして現れたり、ある場合は胃腸の調子がおかしくなったり、また、ある場合には、神経がいらだってくるといった現象として、問題が表面化します。
「減量」「痩身」、はては「ダイエット」という言葉にまで、ある種の暗い雰囲気、マイナス・イメージがつきまとう理由は、まさにここにあります。
カロリー制限こそ「ダイエット」の基本、とする日本の常識の悲しむべき誤りがここにあるのです。
「減量」=「体重を減らすこと」と、短絡に思い込んでしまうからです。
もちろん「減量」の、本当の対象物であるところの、「余分な脂肪」を取り除いた結果は、期待通りの体重減少につながる道理ですから、体重計は、それなりに目盛りが動いて、減量作戦の戦果を知らせてくれます。
この限りでは、何の問題も起きないのですが、正しい「減量」の意味を知らずに、ただやみくもに体重を減らせばと、誤った「やせ方」を行う時、体重計の目盛りの移動に一喜一憂することは、ナンセンスだけでなく、大変な危険すら伴いかねません。
余分な脂肪は、どんどん取り除かねばなりませんし、その結果の体重減は、大いに喜ぶべきことですが、別の理由からくる体重減を喜んでいた日には、大変なことになります。
先程も言いましたような、水分の無理な排せつの結果は、身体の内部で多くの臓器に異常をもたらしますし、ましてや、身体を構成している組織そのもの-ヒフ・内臓・筋肉など-をすり減らしての減量=体重減は、まさに生命のすり減らし、緩慢な自殺行為と断言しても差し支えないほどの危険なことなのです。
減量作戦に当たって、単純に体重計の目盛りだけを基準にしてはいけないという意味をよく理解してほしいと思います。
以上を整理してみますと、私たちの身体の重さ、すなわち体重は、大きく区分すると次の3つの物で構成されています。
1.身体の組織
2.水分
3.脂肪
この3つの構成要素は、当然それぞれに重さがあり、その合計が体重であります。そんな分かりきったことをと、おっしゃる方々も大勢おられるでしょうが、いざ減量作戦をとなれば、大部分の方々が、3つの構成要素の持つ意味を忘れてしまっていることが多いので、くどいように申し上げる次第です。
減量の対象にしてよい、いや対象にしなければならないのは3番目の脂肪だけであって、1番目の身体組織と、2番目の水分は、減量の対象にしてはいけません。
日本でまかり通っている「減量」「ダイエット」の常識、すなわちカロリー・カット方式をとれば、間違いなく影響を受けるのが、1番目の身体の組織であるという、極めて重大な事実に目を向けてください。
カロリー・カット方式の結果は、確かに脂肪も多少は取れるでしょうが、その前に身体の構成組織がすり減ってくるのです。その結果、ある場合は肌のおとろえとして現れたり、ある場合は胃腸の調子がおかしくなったり、また、ある場合には、神経がいらだってくるといった現象として、問題が表面化します。
「減量」「痩身」、はては「ダイエット」という言葉にまで、ある種の暗い雰囲気、マイナス・イメージがつきまとう理由は、まさにここにあります。
カロリー制限こそ「ダイエット」の基本、とする日本の常識の悲しむべき誤りがここにあるのです。
私たちの体重は、組織・水分・脂肪の3つの部分の、それぞれの重さの合計であるわけですが、このことを理解していただくために、分かりやすい例として、コーヒー・カップを持ち出してみようと思います。
皆さんのお宅に、お客様がお見えになった時、あるいは喫茶店でくつろぐ時、サービスされるコーヒーは、通常コーヒー・カップに満たされて、 受け皿に角砂糖2個をつけて出されるものと思います。
この状態が、私 たちの身体によく似ていると思われます。と言いますのは、このサービスされるコーヒーの重さは、
1.コーヒー・カップおよび受け皿
2.中身のコーヒー
3.角砂糖
の3つの合計であり、先程の私たちの身体の重さが、同じく3つの合計であるのと、そっくりなのです。
仮に、このコーヒーに人格があって、例えとしては突拍子もないことかも分かりませんが、このコーヒーは、実は魔法使いの術によって姿を変えさせられた、どこかの国の御姫様だと想像してみましょう。
このコーヒー姫に、大変な減量志向があって、合計600gの総重量を、なんとかして100g減らしたいものと念願していると致します。お姫様の希望をかなえて上げる一番手っ取り早くて簡単な方法は、コーヒーをがぶりと飲み干してしまうことです。
中身が空になったコーヒー・カップをはかりに乗せてやれば、100gやそこらは確実に軽くなっているはずです。
でも、このようにして軽くなったコーヒー・カップも、「もう一杯どうぞ」の一言で、再び満たされると同時に、元の重さに戻ってしまいます。
コーヒー姫は、折角「減量」できたのにと残念に思います。
あくまでも「減量」したいコーヒー姫は、次の方法はないかと考えます。「減量」さえできたなら、ほかの事は我慢してもよい、とにかく軽くなりたい。
この姫の希望をかなえるためには、かなり荒っぽい方法ではありますが、確実この上ない方法があります。
コーヒー・カップの一部を壊して、捨ててしまう方法です。
・カップの取っ手なんかなくてもよい
・受け皿も半分ぐらい割れたって構わない
と言う考え方です。
確実に軽量化したコーヒー・カップの姿はどうでしょうか。見るも無残な醜い形が、そこにあるはずです。
賢明な皆さんは、もうお分かりでしょう。
コーヒーのカップや受け皿は、私たちの身体の組織と同じく、絶対に壊してはいけない物であり、また一時的に失った水分は、自然の摂理に基づく、水分調整の機能が働いて、再びつぎたされるコーヒーと同様に、元に戻ってしまいます。
コーヒー姫は、ここでやっと本当の事に気が付きました。「減量」するために捨て去ってよいのは、3番目の角砂糖だけだということが。
1個や2個の角砂糖は、コーヒーをおいしく頂くために必要な物です。でも、どうせ明日か明後日に、またコーヒーを飲むのだからと、2個が4個、6個、10個、20個と、気が付いたら何日分もの角砂糖が、受け皿せましとたまってしまった状態、これが私たちの身体の中に過剰に蓄えられた脂肪に例えられるわけです。
コーヒー姫は角砂糖の過剰分を、私たちの場合は余分な体内脂肪だけを、「減量」対象にしなければならない理屈が、これで充分お分かり願えたことでしょう。
皆さんのお宅に、お客様がお見えになった時、あるいは喫茶店でくつろぐ時、サービスされるコーヒーは、通常コーヒー・カップに満たされて、 受け皿に角砂糖2個をつけて出されるものと思います。
この状態が、私 たちの身体によく似ていると思われます。と言いますのは、このサービスされるコーヒーの重さは、
1.コーヒー・カップおよび受け皿
2.中身のコーヒー
3.角砂糖
の3つの合計であり、先程の私たちの身体の重さが、同じく3つの合計であるのと、そっくりなのです。
仮に、このコーヒーに人格があって、例えとしては突拍子もないことかも分かりませんが、このコーヒーは、実は魔法使いの術によって姿を変えさせられた、どこかの国の御姫様だと想像してみましょう。
このコーヒー姫に、大変な減量志向があって、合計600gの総重量を、なんとかして100g減らしたいものと念願していると致します。お姫様の希望をかなえて上げる一番手っ取り早くて簡単な方法は、コーヒーをがぶりと飲み干してしまうことです。
中身が空になったコーヒー・カップをはかりに乗せてやれば、100gやそこらは確実に軽くなっているはずです。
でも、このようにして軽くなったコーヒー・カップも、「もう一杯どうぞ」の一言で、再び満たされると同時に、元の重さに戻ってしまいます。
コーヒー姫は、折角「減量」できたのにと残念に思います。
あくまでも「減量」したいコーヒー姫は、次の方法はないかと考えます。「減量」さえできたなら、ほかの事は我慢してもよい、とにかく軽くなりたい。
この姫の希望をかなえるためには、かなり荒っぽい方法ではありますが、確実この上ない方法があります。
コーヒー・カップの一部を壊して、捨ててしまう方法です。
・カップの取っ手なんかなくてもよい
・受け皿も半分ぐらい割れたって構わない
と言う考え方です。
確実に軽量化したコーヒー・カップの姿はどうでしょうか。見るも無残な醜い形が、そこにあるはずです。
賢明な皆さんは、もうお分かりでしょう。
コーヒーのカップや受け皿は、私たちの身体の組織と同じく、絶対に壊してはいけない物であり、また一時的に失った水分は、自然の摂理に基づく、水分調整の機能が働いて、再びつぎたされるコーヒーと同様に、元に戻ってしまいます。
コーヒー姫は、ここでやっと本当の事に気が付きました。「減量」するために捨て去ってよいのは、3番目の角砂糖だけだということが。
1個や2個の角砂糖は、コーヒーをおいしく頂くために必要な物です。でも、どうせ明日か明後日に、またコーヒーを飲むのだからと、2個が4個、6個、10個、20個と、気が付いたら何日分もの角砂糖が、受け皿せましとたまってしまった状態、これが私たちの身体の中に過剰に蓄えられた脂肪に例えられるわけです。
コーヒー姫は角砂糖の過剰分を、私たちの場合は余分な体内脂肪だけを、「減量」対象にしなければならない理屈が、これで充分お分かり願えたことでしょう。